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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
美しいものを持てば、それに見合った器量を目指すようになる。多少の食事制限で空腹を感じなくなったのも、その頃からだ。高校受験を控えていたため、中学の時分は地毛をいじらず化粧もほとんどしなかったが、ここ数ヶ月で、ゆうは劇的に変わった。腰まで伸ばした黒髪も、徐々にダークピンクのヘアマニキュアを加えていって、雑誌や動画サイトの情報を漁って、体型維持だけではなく、肌のメンテナンスや髪の手入れにまで力を入れた。
ゆうのSNSのアカウントは、二ヶ月にしては成長している。美の上級者達を閲覧するためのアカウントには、ゆう自身の投稿もあって、姉や友人達と出かけるために身を飾っていた頃に加えて、世界が僅かに広がった。
世界が僅かに広がった分、ゆうは、現状に満足いかなくなった。
自身の美意識に、もっと従順にならなければいけない。もっと容姿に執着して、わがままに自分を愛すべきだ。
美しく華やかな女達のアカウントを見るのはストレス解消の一環だが、彼女らに足並みを揃えるか、もっと突出したいという欲望を、ゆうは強めた。
大人達、中でも両親は、飽きもしないで、ゆうを小言の標的にする。
好きなものを避難されるほど、それらへの愛着は余計に募って、彼らの口を塞ぐかわりに、ゆうは自身の身体に穴を増やした。初めは耳朶、次第にピアスが軟骨にまで範囲を広げていくと、やはり大人達は顔をしかめたが、ゆうに彼らの人生を生きる義理はない。