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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
「お姉ちゃんの言う通りだったよ……。処女だと言ったら、二十万円、条件に出してきた人がいたの。これって平均以上だよね?それは私が可愛いからなんだろうけど、その人、体臭が酷くて……鼻がどうにかなりそうだったから断ったら、強引に腕を引っ張ってきて……」
自家用車に押し込められそうになったところに、警察官が通りかかった。
怯んだ男の隙を見て、駅まで走って逃れてきたのが、二時間前だ。
姉は、ゲームアプリで遊んでいた。洋服や化粧のことを考えていない時、彼女はこうして呑気に時間を粗末にする。生産性のない遊びを無駄と指摘するつもりはないが、苦労している妹の前で、多少の暇をアピールしているのだから、悪態くらいはつかせて欲しい。
「ママ活すれば?」
そろそろ風呂に入ってこい、と声をかけるほど軽い調子で、姉が言った。
「女性なら、そこまでやばい体臭の人いないでしょ。つきまとわれる迷惑だって、男よりかは理解あるだろうし」
「マッチングアプリで、女の子と取引したい女の人は見かけたことないよ」
「ゆうから募集をかければ、先方もその気になるんじゃない?」