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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
* * * * * * *
明咲は、仮初めの主従関係を結んでいる女と会っていた。
彼女、亜純(あすみ)は四年前、明咲が佐和子と別れたあと、初めて枕を交わした相手だ。
会社員にしては珍しいほど明るい髪色を肩より短く揃えた彼女は、道ゆく人間が振り返るほどの美人だが、迷惑なナンパ行為やスカウトとは無縁らしい。鋭利でさえある眼差しを放つ切れ長の目に、尖った鼻先、ぽってりとした形の良い唇──…動作の一つ一つが颯爽とした彼女は、かつて「ドーリィナイトメア」というグループでボーカルを担当していただけに、まるで一点の瑕疵もない人形だ。マッチングアプリで知り合った仲でなければ、明咲でも彼女に近付きにくい印象を持っていただろう。
亜純から明咲の元に連絡があったのは、日付が変わる直前だった。彼女は電光掲示板が終電を知らせる駅で明咲を見るや、疲弊を露わにして、しおらしい態度を見せてきた。
近くのホテルへ移動した。
数日前、佐和子と入った部屋に比べて日常的な気分で過ごせる感じのした部屋は、明咲が彼女に例の契約の話を打ち明けた途端、淫らな寝床に一変した。
昔の恩人に再会した。愛人関係を再開して、彼女の用意した部屋に引っ越した。…………
亜純が明咲の恋人なら、ここで破綻していただろう。だが彼女は、今しがたの疲弊も残業の話も嘘だったのではと疑るほどの活気を戻して、佐和子との詳細を説明するよう、明咲に求めた。それから、明咲を風呂場へ連れて向かった。