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ママ活
第1章 社長が昔のママだった──case1.明咲──
「なるほどねぇ。新藤明咲ちゃん。オレの友人の田村がよく話していた、噂のマドンナの娘ちゃんね」
宮田小太郎(みやたこたろう)という名の男の店は、本当に身元の証明を必要としなかった。
いかがわしい看板が路面に並んで賑わい出す、ネオン街。地図の通り、そこには縦長のビルがあって、そのテナントに、例のデートクラブが入っていた。
明咲をキャストの面談に呼んだのは、オーナーである宮田本人だ。
どこにでもいる感じの三十代、男である。短い黒髪に、人の良さそうなパーツを配置した丸顔で、清潔感あるスーツが隠しているのは、すらりとした小柄な体躯。もし外ですれ違っても、営業職か、何か人と関わる仕事に携わっている風にしか見えないだろう。
エントリーシートに個人情報を記入して、志望動機や希望している収入額、恋人の有無などを答えたあと、宮田が話を掘り下げたのは、明咲がここに至った経緯だ。