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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
華やかに歓談する女達。
ここは、ゆうにとって当然の居場所だ。こんな時間に海鮮料理も食が進むのは、美しい彼女らがそれらを口にしているところを見ていると、むしろこの食事さえ、何かしらの美に紐づいているよう、ゆうに暗示をかけてくるためかも知れない。
佐和子の話題は、ゆうに未知の世界を示して、そして建設的である。他の二人はほとんど聞き手に徹しているが、時折話せば、声まで良い。
明咲は、SNSのアカウントを所持しているのだろうか。もしそうなら交換して、彼女の美容法を教わりたい。ゆうの勘が確かであれば、亜純は何もしていないだろう。四年前、彼女は地元で人気のインディーズバンドのボーカルだった。解散を機にインターネットでも見かけなくなって、そのあと別の場所で活動している噂も聞かない。
空き皿を回収に来た従業員が退室すると、佐和子が明咲を散歩に誘った。
桜は満開で、春のライトアップも点灯していた。
ゆうも行きたいと伝えたが、亜純が引きとめてきた。
「佐和子さんは、パートナーを交換して、イケナイことをしたいみたい」
「浮気ってことですか?」
ゆうと佐和子はともかく、亜純達は友人同士と聞いている。そこまでの背徳感を楽しめるものかと、ゆうが首を傾げていると、彼女が佐和子に呼びかけた。
「佐和子さん。ゆうちゃん、可愛がっちゃって良いんですか?」
「本人の同意を得てからね」
それから佐和子は、明咲に春先のコートを着せた。自分より先に、散歩の相手の薄着を案じた彼女の行動は、ゆうにうっとりと溜め息をつかせた。