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ママ活
第1章 社長が昔のママだった──case1.明咲──
「その綺美果さんが男に騙されて、五千万円の借金を背負った。彼、会社経営なのに名刺の住所に連絡してもダミーだったとは、肩書きも怪しいところですね。お母さんの……綺美果さんの主張としては、自分は失恋で傷付いているから、痛い目を見ていない明咲ちゃんが返済すべきだ、ということですね。困った。借金まみれの母娘の力になるか、見捨てて、高校生を雇うリスクを避けるか」
「まずは二十万。お母さんにそれだけ渡さないと、家に帰れそうにないんです。デートだけで何とかなりませんか」
「オプションなしでも、風営法に抵触します。それにデートだけでその金額だと、フルで入っても一週間はかかるよ」
一週間くらいであれば、寝る場所さえ友人を頼るなりすれば、何とかなる。
問題は、やはり明咲の危惧した通り、制服のまま出てきたために、ここで門前払いされる可能性だ。
「分かった」
しばらくののち、宮田が苦虫を噛み潰したような顔を見せた。
「僕が新藤さんを追い返して、後日、母娘の首吊りが新聞に出ても、あと気味悪い。ただしさっき聞いた負債額だと、返済を延ばすほど利息が付いて、半永久かかりますよ?」
断じて人の良さそうな顔を崩さない宮田が、一枚の書面をテーブルに置いた。
そこには、この店が提供しているもてなしの詳細が羅列してあって、母親が明咲に強要しようとしていたオプションも含まれていた。