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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
ゆうと寿也の交際は、学校中の話題になった。テニス部の星に憧れていた生徒はもちろん、ゆうに特別な目を向けていた生徒らも多かったらしい。
寿也は、ゆうが初めての交際相手だという。教師らの信頼も厚く、社交性に長けた彼は、恋愛面において不慣れなようで、不憫になるほど几帳面なところがある。
そんな彼は、中間考査が近付くと、ゆうの不得手教科を見てくれた。彼自身はテニスの推薦枠を狙っていて、受験に備えてまで勉強しないスタンスだが、彼の講義は教師も面目をなくすのではないかというくらいには分かりやすく、高校三年生の一学期、ゆうは初めて、両親も仰天したほどの結果を出した。
寿也には、ゆうに引けをとらない美意識もあった。恋人同士揃って、美における考え方が一致していた。
ただし、デートは佐和子との方が、ゆうを格段に満足させる。
梅雨のニュースも見かけるようになった頃、ゆうは、週末に寿也と会うのが面倒になっていた。佐和子なら、当日までに目移りするほどの行き先の候補を用意して、ゆうがどれを選んでも、楽しみたいように楽しませてくれる。帰りには持ちきれないほど土産があって、彼女はゆうに、ごくさり気なく釣り銭の出るタクシー代を握らせて、家までゆったり帰れるよう手配してくれるのが常だ。