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ママ活
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純──


「ねぇ」


 心なしか好奇心の覗いた明咲の目許は、少し化粧が落ちかけていた。この状態で間近に見ると、確かに中性的な感じは強い。


「佐和子さんとお姉様って、どうやって知り合ったの?」


 それは、本当に他意ない好奇心らしかった。


「二年前って、お姉様がマッチングアプリしなくなった頃だもん。まさかの宮田さん繋がり?」

「誰それ。……まぁ、人を通して、と言えなくはないけれど」


 佐和子とは、今夜もこうして部下達に残業を課した上司がいなければ、きっと出逢っていなかった。

 亜純はあの日のことを思い起こす。


 夏だった。

 働きやすかった反面、安月給だった前職を辞めて、今の会社に移ってすぐの頃、例の上司が取引先のレセプションパーティーに、亜純を誘った。
 特定のゲストに高額な足代が出ているだの、各企業の主要人物達に加えて著名人らも参加を予定しているだの、いかがわしいことも囁かれていたその会合で、佐和子は国内屈指の実業グループの令嬢らしく、僅かな媚びも売らない態度で、毅然とその場に品格だけを振り撒いていた。
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