この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ママ活
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純──

明咲だけが、今の亜純の安らぎだ。彼女を乱している時だけは、余計な思考も入ってこない。
マッチングアプリで出逢った大学生は、掘り出し物だった。潔いほどエロティックで、従順。しかも美しい。彼女が「ドーリィナイトメア」を知らなかったのは、おそらく、それだけ親に、十代の大半を棒に振らされたということだ。自由になって始めての遊び相手が亜純だったという彼女は、まるですり込みの習性を備える雛だ。
明咲に会いたい。
男達の傲慢に穢された耳を、魂ごと彼女に清められたい。…………
実際的な問題として、明咲の都合がつくか以前に、亜純の気持ちは帰路に先急いでいた。
上司に倣って羽目を外す選択肢もあるが、ここで夜の相手を吟味すれば、亜純は意図せず、時間外労働の恩恵を受けてしまう。つまり僅かにでもパーティーを楽しめば、上司が絶対悪でなくなるのである。
「失礼──…」
正面出入り口の方角へ足先を向けた時、亜純は自分の喉を疑った。
前方の婦人に衝突しそうになって、詫びるために息を吸った。だが一言を発したのは、亜純とは別の人物の声だ。
「え?」
亜純は、婦人にぶつかりもしなかった。彼女は第三者になど気付きもしないで、遠ざかっていく。
そして亜純は、何者かに腕を掴まれていた。

