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ママ活
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純──

* * * * * *
佐和子との馴れ初めを話す片手間に、仕事は捗っていた。残りは明日の通勤電車で仕上げられる段階まで進めたところで、作業を切り上げて、亜純は今夜の仕事を分担している伊本りなに連絡をとった。
りなの電話は、留守番電話サービスセンターに繋がらないことの方が珍しいという。そうした上司の苦情に反して、LINEのトーク画面には、二十秒以内に返信が付いた。
通話出来ないかという亜純に、二度返事するようにして、彼女からの着信が続いた。
「お疲れ様」
『お疲れ様です、亜純さん。どうしましたぁ?』
「進歩、どうかと思って。終わりそう?」
『あと一時間くらいです』
「そうなんだ、送ってくれたらやるよ。りなちゃん、家、遠いでしょ」
『大丈夫ですよぉ。親に、お風呂と夕飯を先に済ませるよう言われただけですから。有り難うございます』
相変わらず高いトーンでふにゃふにゃ話す後輩は、亜純の声が精力剤になっただの、一人で終わらせたら明日褒美が欲しいだの、上司のことなど頭から抜け落ちている様子だ。マシュマロを想起する白く柔らかな頬をゆるめてスマートフォンを握っている、彼女の姿が目に浮かぶ。

