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ママ活
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純──

快楽は人を裏切らない。金銭は人を裏切らない。
亜純と佐和子の感性は、一致していた。しかも彼女の提示した条件は、対価の受け渡しがあるのを除けば、セフレと大差なかった。
「セフレ達との関係は、自由に続けて?本気の恋も、もししたくなったら、そちらを優先してくれて良い。私にも、よりを戻したい人がいる。その時、貴女に妬かれるのはご免だもの。お互い会っている時間以外、干渉はしない。どう?」
亜純は、化粧する手を止めていた。ビューラーを拾いかけていた利き手を佐和子の左手に移して、指を絡める。
あわよくば起業出来るくらいの蓄えが欲しい、と考えなかったことはない。そのために明咲との関係を断たなければいけないなら、半永久に社畜のままでも構わなかったが、佐和子の道楽に付き合えば、今より自由になれる気がした。
「あたしはフェミニストだし快楽主義だよ。だから佐和子さんのことは好き」
それから亜純は支度を終えて、佐和子とルームサービスのモーニングメニューを賞翫した。
彼女に忘れられない男がいるのと同様、亜純にも手放せない女がいる。そのことを話した流れから、彼女は亜純が被虐趣味の女子大生と出逢ったというマッチングアプリに興味を示した。募集や応募の仕方次第では、無銭の出逢いも後腐れない娯楽に繋がる。そんな亜純の情報に食いついた彼女は、その日の内に登録していたらしい。それから数週間後、規格外に端麗な女子高生と出逢ったという。

