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ママ活
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純──

絶頂に達したりなと通話を終えたあと、亜純は、佐和子との思い出話を再開した。
佐和子が再会を望んでいた元愛人が明咲だと、当時、亜純は想像だにしなかった。今にして思えば、彼女は面白がって相手を男と話していて、亜純も明咲が男装してママ活していたことを失念していた。
佐和子とは悪友にも似た関係が続いている。いつか愛人やセフレを紹介し合えれば良いねなどと軽口を交わして二年、実現したのが、先日のインモラルな女子会だった。
彼女が悪友とすれば、明咲は亜純の何なのか。
仮に明咲の思い描く将来が、亜純を含まなかったとする。彼女を手放して、亜純は何か失うだろうか。潔く他の女に切り替えて、同量の熱意を注ぐだろうか。
「明咲」
「なぁに?お姉様」
「あたしのペットじゃなくなったら、明咲の一番いやらしい部分、焼いて潰すから」
他の人間のものになるくらいなら、なれないようにすれば良い。彼女とは、もとより愛だの温もりだのを議論するような間柄でもない。
明咲が目を見開いた。きらびやかなものを見ている風に亜純を見る彼女の顔は、出逢った当時を想起する。女に女として扱われたのが初めて。彼女は、嬉々としてそう言っていた。
人は、大切なものを失うために、生かされている。こんな世界で、永遠など、信じて憂き目を見るのが相場だ。
だから快楽に執着する。その快楽の共有者でしかない彼女──…明咲の顎を指と指の間に挟んで、亜純はその唇をキスで塞いだ。
第3章 快楽かお手当かママか──case.3亜純── ──完──

