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第4章 愛しのお姉様と姫とママ

　日中でもどこか卑猥な感じの小路に逸れてホテルに着くと、部屋に入るなり、明咲は亜純と唇を重ねた。

　歩道に酔っぱらいがいたりしなければ、明咲に車道側をほとんど歩かせない亜純は、JILL STUARTのショッパーも、店からここまで持ってくれていた。淡いピンク色のそれだけは、見事なさり気なさでソファに置いて、朝から彼女の肩にかかっていたトートバッグは、互いの舌がじゃれつく頃には絨毯の上に落ちていた。

　道中、何を話していたかも失念していく。今しがたのコスメメーカーの美容部員を志していたにも関わらず、結局、佐和子のイベント運営会社に入った同僚──…小川佳歩(おがわよしほ)が、先日ホテルで出逢ったゆうに似ているという話に興じていたのは建前で、頭の中は淫らな空想が横溢していた。

　バッグを下ろして、明咲は彼女の肩を掴んだ。その手を彼女の腕に滑らせて、手を取って、指の隙間を埋めながら、みだりがましく息を吐く。


「んっ、ンンゥッ……」


　唾液をすりつけ合う音が、響いていた。

　明咲の乳房を覆った亜純の片手が、衣服の上から愛撫を始めた。その手が脇腹を撫でて腰をなぞって、太ももをまさぐる。


「ッ……ぁ……ぁァっ」

「エッチぃな。明咲は、服、着てくる意味ないよ」


「っ、……」


　既にショーツが湿っているのを自覚していた明咲は、亜純に腕を引かれた弾みで、身体の均衡を崩した。

　彼女に引きずられるようにして、寝台に倒れ込む。仰向けになって顔を上げると、清冽な煌めきを帯びた切れ長の目が明咲を見下ろしていた。覆い被さるようにして、今一度、彼女が明咲の唇を唇で塞ぐ。