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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
亜純は身なりを整えていた。ケトルでお茶を淹れてくれた一部終始も、絵になっていた。佐和子と違って精神的な色恋も不得手としていそうにない彼女に、特定の恋人がいないのが不思議だ。
「明咲は、恋愛願望ある?」
読心術でも心得ていたのではというタイミングで、亜純が話を振ってきた。
明咲は、サイドテーブルにカップを置いた。シーツを身体に押さえつけながら、片腕を亜純にまといつかせる。
「気持ち良い方が好きだよぉ、お姉様ぁ」
「若いのに、夢見ないんだ?ドラマでも観たら、憧れるかもよ」
亜純がバッグから抜き取ったのは、DVDだ。彼女と入る部屋にしては珍しいほど、ベーシックな客室に備え付けられたプレーヤーに、円盤が入っていく。
スクリーンが動き出す。
明咲は、寝台に上って肩を並べた亜純に頬を預けて、見慣れないタイトルに目を遣った。本編が始まってすぐ、映像作品の正体を知る。
「AV?」
「正解。明咲がエロい証拠だね」
「あの女優さん、有名だし……」
やはり亜純が他人に恋愛を推奨するはずがない。
納得して、明咲は彼女の恋愛事情を聞きそびれたことを悔いながら、取ってつけたような導入ストーリーに集中しようと努める。