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ふたりの娘
第3章 背伸び
「ゴメンね、お父さん…お酒飲めなくて」
「いいよ、ホテルに帰って飲むから…」
結局ショッピングモールで昼食のあと、私たちは映画を見ることになりました。せっかくの旅先で映画はもったいないと思いましたが、結衣子の希望に合わせることにしました。なぜならこの旅行は、結衣子の合格祝いなのです。そして6時過ぎにモールを出ると、夕食も道路端にある沖縄そば屋で済ませました。
「今日もバー、行く?」
「部屋で缶ビールでも飲むよ」
「えー、残念…せっかくのオシャレなホテルだよ?」
ホテルへ帰るレンタカーの車内で、結衣子が無邪気にはしゃいでいました。ベリーショートの横顔は妻とそっくりで、私はいつもと勝手が違うことに少し戸惑っていました。
「ユイちゃん、何でお母さんの服なの?」
「やば、オバサンぽい?」
「そうじゃなくてw」
口を開くと結衣子はやっぱり『ユイちゃん』でした。しかし口調は変わらない結衣子も、その仕草にいつもと違う雰囲気を纏っていました。
「やっぱ…お父さんとふたりだからね」
「うん、どういうこと?」
「娘として…気を使ってるってこと!」
私がびっくりして助手席を見ると、結衣子は少しはにかんだ笑顔を見せました。
「前見てないと、事故しちゃうよ!」
「ゴメンゴメン…」
「あ、お父さん…あそこにコンビニあるよ!」
ホテルに戻ると、結衣子がコンビニでどっさり買ったお菓子とビールを抱え、先にレンタカーを降りました。私は後ろの席の紙袋を手に取ると、結衣子の後ろを追いかけました。
「ユイちゃん、忘れてるよ!」
「忘れてないよ、それ…お父さんの!」
「僕の?」
私はふたつある紙袋の一つを開けようとしました。すると後ろに振り返った結衣子が、首をふりました。
「お父さん、まだ見ちゃダメだよ!w」
「何で…?」
「いいから…早く帰ろ!」
結衣子にせかされ、私は苦笑いを浮かべまた歩き出しました。結衣子は私が隣に来ると、身体を寄せて一緒に歩き始めました。
「いいよ、ホテルに帰って飲むから…」
結局ショッピングモールで昼食のあと、私たちは映画を見ることになりました。せっかくの旅先で映画はもったいないと思いましたが、結衣子の希望に合わせることにしました。なぜならこの旅行は、結衣子の合格祝いなのです。そして6時過ぎにモールを出ると、夕食も道路端にある沖縄そば屋で済ませました。
「今日もバー、行く?」
「部屋で缶ビールでも飲むよ」
「えー、残念…せっかくのオシャレなホテルだよ?」
ホテルへ帰るレンタカーの車内で、結衣子が無邪気にはしゃいでいました。ベリーショートの横顔は妻とそっくりで、私はいつもと勝手が違うことに少し戸惑っていました。
「ユイちゃん、何でお母さんの服なの?」
「やば、オバサンぽい?」
「そうじゃなくてw」
口を開くと結衣子はやっぱり『ユイちゃん』でした。しかし口調は変わらない結衣子も、その仕草にいつもと違う雰囲気を纏っていました。
「やっぱ…お父さんとふたりだからね」
「うん、どういうこと?」
「娘として…気を使ってるってこと!」
私がびっくりして助手席を見ると、結衣子は少しはにかんだ笑顔を見せました。
「前見てないと、事故しちゃうよ!」
「ゴメンゴメン…」
「あ、お父さん…あそこにコンビニあるよ!」
ホテルに戻ると、結衣子がコンビニでどっさり買ったお菓子とビールを抱え、先にレンタカーを降りました。私は後ろの席の紙袋を手に取ると、結衣子の後ろを追いかけました。
「ユイちゃん、忘れてるよ!」
「忘れてないよ、それ…お父さんの!」
「僕の?」
私はふたつある紙袋の一つを開けようとしました。すると後ろに振り返った結衣子が、首をふりました。
「お父さん、まだ見ちゃダメだよ!w」
「何で…?」
「いいから…早く帰ろ!」
結衣子にせかされ、私は苦笑いを浮かべまた歩き出しました。結衣子は私が隣に来ると、身体を寄せて一緒に歩き始めました。