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ふたりの娘
第3章 背伸び
私は頭の中がパニックになっていました。義理とは言え大事な娘が、海の中で行方が分かりません。いろいろな悪い想像が頭を駆け巡り、心臓の鼓動が早くなるのを抑えきれません。そしてとりあえず海から上がるため、ビーチに向かい泳ぎ始めた瞬間でした。

「ブハッ!ハアァ…!!」
いきなり私の目の前に、結衣子が頭を出しました。そしてクジラのように息を吐き出すと、波に頭を隠されながら私に話しかけました。

「ハアァ…お父さん、ユイ…潜水の新記録かもっ!」
私の心配をよそに無邪気にほほ笑む結衣子を見て、思わず力が抜けました。そして結衣子の首に手を回し、私は娘を抱きしめていました。

「ユイちゃん…びっくりさせないでよ!」
「え、何が?」
結衣子は無邪気な表情のまま、本当に何が起こったのか理解していません。私はそんな結衣子が愛しく、そして可愛くて仕方がありませんでした。

「もしかして…ユイが溺れたと思った?」
「うん、思った!」
「それは…ゴメンねw」
そして私の手を払うと、結衣子はその手で私の胸を触りました。私は鼓動がさらに早くなるのを感じていました。

「うわっ、お父さんの心臓…早っ!」
私は結衣子の顔を見つめ、思わずもう一度抱きしめて私に抱かれていました。

「ユイちゃん、無事でよかった…」
やっと私が声を絞り出すと、結衣子は黙って頷きました。そのとき、大きな波が私たちの上を通り過ぎて行きました。そしてふたりは波に合わせ、海に身体を任せていました。
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