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ふたりの娘
第5章 瑠依
「クリスマス、何欲しい?」
離婚して瑠依は母親と一緒に母親の実家近くに引っ越しました。そして離婚して初めて会った秋の日曜日、私は瑠依と遊園地にいました。

「クリスマス、パパは来ないの?」
「うん、お仕事だからね」
「じゃあ、何もいらない…」
まだ小学1年生の瑠依には、両親の離婚の意味が分からなくても仕方がありません。私は瑠依に淋しい思いをさせていることに、本当に申し訳なく思っていました。

そんな瑠依が3年生になったとき、私は再婚をしました。そして瑠依には話していませんでした。もう少し大きくなって理解ができるようになれば、しっかりと話すつもりでした。それは中学1年のときにやって来ました。

「パパ、再婚してたんだ」
「ふうん、そうなんだ…」
「でもこれからもずっと、瑠依のパパだよ」
「そんなの…当たり前じゃん」
5月のゴールデンウィークに会ったとき、私は再婚を瑠依に告げました。私とスケジュールが合わずほぼ1年ぶりに会った瑠依は、以前よりずっと大人びて見えました。母親に似て背の低い瑠依ですが、身体はもう大人に近づいていました。何より伸ばした黒髪はウェーブが掛り、それをまとめて片方に流していました。

「パパ、子供はいるの?」
「…うん、結婚した人に子供がいるよ」
「男の子、それとも女の子?」
瑠依は私に正面から向き合って話を続けました。娘なりに事態を消化しようと健気な姿に、私は心から瑠依を愛していることに気付きました。

「うん、高校1年の女の子…」
「じゃあ、瑠依のお姉ちゃんだね」
「うん、お姉ちゃんだよ」
少しだけ笑顔になった瑠依に、私は意を決して結衣子から預かった紙袋を渡しました。中身は沖縄のお土産と、結衣子から瑠依への手紙でした。そして私は手紙の内容は知りません。

「今、読んでいい?」
「いいよ…」
夕食を食べたファミリーレストランで、瑠依が手紙を読み始めました。テーブルの上に結衣子からのお土産、可愛くデフォルメされたシーサーが置かれていました。

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