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ふたりの娘
第1章 プロローグ
「暑ーい!」
空港でレンタカーを待つあいだ外に出ると、夏のような日差しで結衣子が思わず大きな声を上げました。そして着ていた薄いコートを私に持たせると、セーターを脱ぎTシャツ一枚になりました。165センチを超えた結衣子はミニスカートを履きこなし、サングラスをかけています。黙っているとまだ中3の子供には見えません。しかしいつの間にかアイスを買って嬉しそうに食べる顔は、やっぱり子供のままでした。私は自然に頬が緩み、もうひとりの娘、瑠依の顔を思い浮かべました。
瑠依も同じように小学校を卒業し、中学生になります。しかし卒業式は向こうの都合で呼ばれていません。私が結衣子の卒業式に出たように、瑠依にも新しいお父さんができたのかも知れないと思っていました。それは仕方がないことであり、私は陰ながら瑠依の卒業を祝っていました。
昼過ぎにレンタカーの手続きが終わり、ホテルに向けて走り始めました。小型のレンタカーの助手席に結衣子が座っています。サングラスを外し大人びた表情でガイドブックを読む結衣子は、いつの間にか妻の身長を追い越していました。シートベルトで左右に分かれ盛る上がる胸とスカートから覗く細く長い脚が、少女から大人になりつつあることを示していました。私は思わず、目を逸らしていました。
「お昼ご飯、どうする?」
「お父さんはお腹減った?」
結衣子とふたりだけで出かけることなど、中学生になってからほとんどありません。私は空港までの電車と結衣子が眠っていた飛行機内と違い、密室の車内で少し困っていました。
空港でレンタカーを待つあいだ外に出ると、夏のような日差しで結衣子が思わず大きな声を上げました。そして着ていた薄いコートを私に持たせると、セーターを脱ぎTシャツ一枚になりました。165センチを超えた結衣子はミニスカートを履きこなし、サングラスをかけています。黙っているとまだ中3の子供には見えません。しかしいつの間にかアイスを買って嬉しそうに食べる顔は、やっぱり子供のままでした。私は自然に頬が緩み、もうひとりの娘、瑠依の顔を思い浮かべました。
瑠依も同じように小学校を卒業し、中学生になります。しかし卒業式は向こうの都合で呼ばれていません。私が結衣子の卒業式に出たように、瑠依にも新しいお父さんができたのかも知れないと思っていました。それは仕方がないことであり、私は陰ながら瑠依の卒業を祝っていました。
昼過ぎにレンタカーの手続きが終わり、ホテルに向けて走り始めました。小型のレンタカーの助手席に結衣子が座っています。サングラスを外し大人びた表情でガイドブックを読む結衣子は、いつの間にか妻の身長を追い越していました。シートベルトで左右に分かれ盛る上がる胸とスカートから覗く細く長い脚が、少女から大人になりつつあることを示していました。私は思わず、目を逸らしていました。
「お昼ご飯、どうする?」
「お父さんはお腹減った?」
結衣子とふたりだけで出かけることなど、中学生になってからほとんどありません。私は空港までの電車と結衣子が眠っていた飛行機内と違い、密室の車内で少し困っていました。