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第1章 クリスマスイブは日曜日…

　11

「おはよう…」

「あ、悠里課長おはようございます」
　今朝も午前９時45分にわたしが出勤すると、もう既に祐輔くんは来ており、パソコンの前に座っていた。

　その進み方から察すると、彼はおそらく８時半には着ていたと思われる…

「今朝も早いわね…」

「あ、もちろんすよ」
　と、昨夜の別れ際の揺らいだ顔ではなく、なんとなくリセットしたような、キラキラした目をわたしに向けて、明るく言ってきた。

　だが、わたしは、そんな彼とはまるで真逆であった…

　なぜなら、昨夜のソロ活動の絶頂の際に彼の顔を浮かべてイッてしまったという余韻というか、やや、後味の悪さを感じてしまい…
　そのキラキラした目が眩しく見えてしまっていたのだ。

　そして、少し、恥ずかしかった…
　

　しかし彼は、そんなわたしの想いの反面、いや、まるで真逆なスッキリとした、そしてキラキラした目をしていた…

　そう、それはまるで昨夜の揺らいだ想いをリセットした様な明るい目…

　そうか、きっと彼も、昨夜、わたしと別れ、夜に、ソロ活動をしたのに違いない…

　いや、このわたしがあれほど揺らぎ、戸惑い、昂ぶりを感じたのだから、彼だって間違いなくソロ活動をしたに決まっているのだ…

　それに、いつも彼は、わたしに対して憧憬の目を向けていたから…

　そして、たまに熱い視線も感じていたから…
　だからこその昨夜の新宿西口駅改札前でのあの一瞬だが熱かった出来事なのであろう。


　しかしソロ活動後の心境の変化には、男女の違いの差が如実にある…

　それは…

　彼はソロ活動により、スッキリとリセットできたに違いなく…

　わたしは戸惑いの余韻を残してしまっていた…

「さ、さぁ、残りをやっつけちゃおうかぁ…」

　気恥ずかしくて、視線が合わせられないままに…
　そう言って誤魔化したのだ。