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ある女課長のクリスマスイブ…
第1章 クリスマスイブは日曜日…
2
祐輔くんはすっかり恐縮し切って、焦燥感いっぱいの表情を浮かべ、今にも涙がこぼれ落ちそうであった…
「ク、クリスマスイブっすけど…」
「あっ、えっ、あ、そ、そうか…
クリスマスイブかぁ…」
「は、はい」
祐輔くんは下を向いていた。
「でも、そんな事言っている場合じゃないんじゃないの」
わたしはそう言い切る。
「あ、いや、でもぉ、ゆ、悠里課長に予定が…」
「え、あ…う、うん、ま、まぁ…」
実は、わたしにはクリスマスイブもクリスマスの日も予定は全くなかった。
二年前の秋に彼氏と別れ、いや、不倫の彼氏と別れ、それから今日まではずっとシングルで…
去年のクリスマスイブは一人でレイトショーの映画を鑑賞し、しかも、今年はほぼ、クリスマスの事はすっかり忘れていたのだ。
いや、それは嘘…
クリスマスの事を敢えて、意識して考えないようにしていたのである。
現在37歳…
仲の良かった友人は全員結婚して子供がいるから遊んでくれる相手などおらず。
かろうじて営業課長という肩書きがあったから…
しかも最近の風潮の流れによる
『女性活用推進法』云々のお陰でなんとか課長というポストにいるだけで、実質は…
課長になれたからお局さまと陰で呼ばれ無いだけであり…
そして4、5年前であったならばとっくに退社勧告されていても不思議ではないこの会社に、かろうじて居残れている存在とも云えた。
だから、クリスマスイブなんて無縁であり…
ましてや、例え部下の失敗でも、いつ足元を掬われても不思議ではない、まるで砂上の楼閣に、いや、不安定な足場に立っているだけの存在ともいえるのだ。
「いや、でも、予定どころじゃないでしょう」
わたしは咄嗟に嘘を…
見栄を張った…
祐輔くんはすっかり恐縮し切って、焦燥感いっぱいの表情を浮かべ、今にも涙がこぼれ落ちそうであった…
「ク、クリスマスイブっすけど…」
「あっ、えっ、あ、そ、そうか…
クリスマスイブかぁ…」
「は、はい」
祐輔くんは下を向いていた。
「でも、そんな事言っている場合じゃないんじゃないの」
わたしはそう言い切る。
「あ、いや、でもぉ、ゆ、悠里課長に予定が…」
「え、あ…う、うん、ま、まぁ…」
実は、わたしにはクリスマスイブもクリスマスの日も予定は全くなかった。
二年前の秋に彼氏と別れ、いや、不倫の彼氏と別れ、それから今日まではずっとシングルで…
去年のクリスマスイブは一人でレイトショーの映画を鑑賞し、しかも、今年はほぼ、クリスマスの事はすっかり忘れていたのだ。
いや、それは嘘…
クリスマスの事を敢えて、意識して考えないようにしていたのである。
現在37歳…
仲の良かった友人は全員結婚して子供がいるから遊んでくれる相手などおらず。
かろうじて営業課長という肩書きがあったから…
しかも最近の風潮の流れによる
『女性活用推進法』云々のお陰でなんとか課長というポストにいるだけで、実質は…
課長になれたからお局さまと陰で呼ばれ無いだけであり…
そして4、5年前であったならばとっくに退社勧告されていても不思議ではないこの会社に、かろうじて居残れている存在とも云えた。
だから、クリスマスイブなんて無縁であり…
ましてや、例え部下の失敗でも、いつ足元を掬われても不思議ではない、まるで砂上の楼閣に、いや、不安定な足場に立っているだけの存在ともいえるのだ。
「いや、でも、予定どころじゃないでしょう」
わたしは咄嗟に嘘を…
見栄を張った…