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ある女課長のクリスマスイブ…
第1章 クリスマスイブは日曜日…
 7

「んんーん、やっぱり終わらないわね」

「は、はい…」

 時刻は午後9時を過ぎていた…

「うーん、もうこんな時間かぁ、お腹空いたなぁ」
 だが、実は、この後に無理をしてでも詰めて作業をしていけば…
 後、6~7時間で、つまりは午前3時前後には完了できそうな目処がついた。

「ふうぅ、なんとかなりそうね」

「はい、おかげさまでなんとかなりそうっす」

「でも、もう終わりにしようよ、わたしお腹空いちゃったの…」
 
「あ、はい、じゃぁ、後は自分がやっていきますから」
 と、祐輔くんが言ってきたのだ。

「えっ、いいよ、明日やろうよ…
 わたしも明日も付き合うからさ…」

「え、でも…」

「いいのよ、本当に明日は予定が無いんだから…」

「え、本当に…そうなんすか?」
 どうやら、彼がわたしの部下だから予定が無いふりをして…
 無理して手伝っていると思っているらしい。

 そりゃそうだろう、なにせ明日はクリスマスイブなんだから…
 
 たいていの人は、普通、なにかしらの予定があり、無い方が不思議なくらいの…
 そんな特別な日なのだから。

「うん、昨日も言ったけどさ、本当に、元々、明日のクリスマスイブは何も予定が無いのよ…
 だから、安心して…」

「あ、いや、そんな安心してなんて…」
 
 うん、やっぱり彼はまだまだ若いんだなぁ…

 何の予定もない三十路女の、いや、アラフォー女の悲哀が…

 哀愁が…

 分からないようだ。

 仕方ないか…

「だからさぁ、キミには悪いけど、却って緊急な休日出勤になってさぁ…」

 少しだけホッとしてるの、ううん、したのよ…

「あぁ、やる事出来たなぁ…ってさ」

「そ、そうなんすか…」

「あ、ダメだからね、この話し他の人に言っちゃ」

「は、はい、もちろんす」

「二人だけの秘密だからね」

「ふ、二人だけの…」
 そうわたしは、わざと言うと、少しだけ赤み掛かった、嬉しそうな、だけどわたしに気を遣っての、笑みを殺した様な顔になった。

「だからさ、ご飯食べて、明日またやろうよね…」




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