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無能淫魔とサディスト男
第6章 喋る道具と残酷無慈悲なご主人様達(R18・R18G)



それから4ヶ月後。
彼女は結局、家事とクルーエルの夜の相手以外、仕事を任される事は無かった。
決して何も成長していないという事はない。
料理は、フランス料理どころか和食、中華まで幅広く作れるようになり、一般的なシェフの腕前になったし、ハウスクリーニング業者並みの清掃技術を身に付けたのだ。
明らかに4ヶ月前の彼女と比較すれば、大きな変化があったのだが、その努力や成果を認められる事は無かった。

ただ、他のメイドや執事達よりも物覚えが悪く、
「遅い」という、たったそれだけの理由で。


ゴキっと骨が折れる音がして、ロゼッタはうめいた。
豪邸に複数あるバスルームの床を一心不乱に磨いていたロゼッタだったが、誰かに指を踏み付けられたのだ。


「あら、そんな所にいたの?気が付かなかったわ。」


指を踏み付けたのはイザベラだった。
恐らくワザとやったのだろう。


「でも私は悪くないわ。
 仕事が遅い貴方が悪いんだから。」


「酷い....どうして、そんな事...。」


「だって目障りなんですもの。邪魔なのよ。
 ほら、早く仕事に戻って」


「指が痛くて....あ、あざになってきて...。」


「治癒魔法を使えばいいじゃない?
 まさか使えないの?」


「つ、使えますが、体力が持たなくて仕事が...。」


「何よ、使えるなら問題ないじゃない?大袈裟ね。治癒魔法を使って、仕事も終わらせば済む話だわ。」


「そんな事したら仕事終わりません...。お願いします、謝って下さい。」


「謝る?ハァ?ろくに仕事も出来ない奴に何故私が謝らなければいけないの?仕事が終わらない?だったら睡眠時間を削りなさい、このグズ。」


吐き捨てるようにイザベラがそう言うと、指を押さえてうずくまっているロゼッタを残し、立ち去っていったのだった。


「謝って...グスン、私に、私に謝ってよ...。」


ボロボロと大粒の涙を溢しながら、彼女は自分の指に治癒魔法をかけた。時間はかからないが、風邪をひいた時のような倦怠感が現れ、彼女はハァっと深い溜息を吐いたのだった。


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