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無能淫魔とサディスト男
第4章 やはり彼女はズレている






如月 蓮視点


“連絡無かったな。アイツ、大丈夫か?”


5時半過ぎ、残業も無く無事定時退社する事が出来た蓮は、電車の吊り革に掴まりながらスマホを操作していた。昼休みやトイレ休憩の際、電話の着信履歴を確認していた彼だったが、ついに1度もスマホが鳴る事が無かったのである。


“何も問題が無かったのならいいが....いや無戸籍者のアイツにとって売春以外、初の仕事が多かった筈。ノープロブレムな訳がねえ。人間界のシステムを理解するのが精一杯だった可能性もある。やっぱ有給でも取るべきだったか?“


後悔時既に遅しだが、仕事の関係上、早退出来る状況ではなかった為、日中ずっと彼はモヤモヤした気分で過ごさなければならなかった。


願わくば、ロゼッタが一人家の中で途方に暮れていませんように。


そんな願いを込めて蓮は予告通り6時過ぎに到着すると、自宅の玄関扉を開錠したのだった。


「ただいま。」


気怠げに蓮は挨拶をすると、玄関で靴を脱ぎ捨てる。美味そうな料理の匂いが鼻腔を掠め、思わずキッチンの方へ視線を向けると、床にしゃがみ込んでいるロゼッタの姿があった。


「!あ、お、お帰りなさいませ!ご主人様。す、すみません、挨拶が遅れてしまって...。」


蓮の帰宅に気づいたロゼッタは慌てて立ち上がると、妙な愛想笑いを浮かべ、メイド喫茶の定番台詞とも言える挨拶を返した。


「そんな事はどうでもいい。それよりお前、大丈夫か?疲れたか?」


「!い、いいえ。ちょっと休んでいただけで...。」


「声震えてんぞ?顔色も悪い。本当に大丈夫か?」


蓮は下手な愛想笑いで疲労を無理矢理隠せていると思い込んでいるロゼッタに1歩ずつ近づいた。


“おいおいおい、キッチンのフローリングの光沢がヤベエ事になってやがる。ワックス掛けでもしたか?いやでもこのレベル、業者だろう。ハウスクリーニングか?予算はあわてて置いていった1万しか無かった筈だが....まさか自腹か?”



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