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無能淫魔とサディスト男
第4章 やはり彼女はズレている
「美味っ.....。」
野菜も肉も口の中に入れた瞬間、蕩けるように柔らかった。バターとチーズが効いている濃厚な汁は水っぽさが一切無くトロトロで最高に美味い。味が濃い為、シチューの隣に置かれたバターライスにかけて食べても絶品で、牛丼をかっこむ勢いで無言でシチューを平らげていった。
「食べるの、早いですね。」
「お前の飯が美味すぎて箸が止まらなくなったんだよ。」
「........私のご飯、美味しいんですか?」
「めちゃくちゃ美味えよ。何度もそう言ってんだろうが。」
「.................良かった............。」
やっと緊張が解れたような、ホッとしたような表情をロゼッタは見せると、自然体の笑顔を浮かべる。心なしか目の端には涙が滲んでいた。
“やっと笑った。何があったか知らねえが、これで会話もマトモに出来るだろう。ひとまず安心だな”
ギュルギュルギュルギュル〜。
ロゼッタの腹の音が豪快に鳴った。
「......お腹空いているなら言えよ。テーブル占領しちまったじゃねえか。」
「いえ、蓮様のお食事が済んでから頂きますので、どうぞお気になさらず。」
「....お前、遠回しに俺とは一緒に食いたくないって言ってんのか?一人で食いたいか?だったら無理にとは言わねえが。」
「え?一緒に食べてよろしいんですか?」
「は?プライベートな時間が欲しいわけじゃねえの?」
「そういう事ではなくて、ご主人様と一緒に席に着いてお食事を頂くのは失礼なのかと...。」
「失礼?んなわけねえだろうが。お前は召使いか?」
「......違うんですか?」
蓮はその言葉に目を見開いて絶句した。
だからずっと敬語を使用し、己の顔色を窺いながらビクビクして、食事の時も突っ立ったままなのだと。