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無能淫魔とサディスト男
第4章 やはり彼女はズレている
「まあ理解は出来ねえだろう。お前は正式な家政婦じゃねえし。」
「......へ?ど、どういう事ですか?」
「1番近い形なら、個人契約で雇われた家政婦だ。だがそれにしたってお前は履歴書を作成しなきゃならねえし、お互い書面で雇用契約書を交わしてもいねえ。俺の言っている意味、分かるか?」
「えっと...雇う側が雇われる側を直接雇用したって事でしょうか?履歴書っていうのは、住所とか特技とか書く紙ですよね?その...雇用契約書とは?」
「雇用者と労働者間で取り交わす契約書だよ。俺とお前で交わす、給料や就業場所等の労働条件が記載された契約書だ。双方の同意が要るし、判子もいる。そんな紙、俺が渡したか?」
「いえ....そんなものは特に....。」
「だろう?だからこの契約はただの口約束だ。肩の力抜けたか?もっと気楽にやっていいんだよ。......お、おい何で泣きそうなんだよ、俺なんか変な事言ったか?」
「ち、違います。蓮様優しいから、逆に...怖いんです。」
「....優しい?俺が?」
「優しいです。私が居た世界で、もしこんな状況になったら、ご主人様に無能呼ばわりされるか、暴力を振るわれます。それが使用人にとっては当たり前だったんです。」
「ありえねえ。人権も何もねえじゃねえか。あー...もしやお前の元居た世界の【使用人】とこっちの【家政婦】の仕事内容が似てたりしたか?それで頭こんがらがったか?」
「そ、そうです。似てました....。だから誤解しちゃって。」
「....なら俺の説明不足が原因だ。悪かった。」
「ご、ご主人様が謝る事は何も、私がアホなのが悪いのです。」
「いやアホっていうか、お前こっちの世界に来てから家政婦は初めての仕事だったんだろう?知識も経験も不足している奴が、右も左も分からなくて当然だし出来なくて当たり前なんだよ。まあお前の場合は仕事が出来てたけどさ。」
「仕事、出来てたんですね。私、朝ごはんも作れていませんし、鞭で引っ叩かれるのは覚悟していたので、とっても嬉しいです。」
「...........お前の居た世界の常識はここじゃ非常識だと理解した方がいい。後俺は朝食は食わん。必要無い。」
「わ、分かりました...。」