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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
「ふーん、そうか....おい、お前顔真っ赤だぞ?どうした?」
だが嘘を付いた事で突如頬が真っピンクになったロゼッタの変化に蓮が気付かない筈もない。彼は目敏く指摘したのだった。
「い、いえ。お気になさらず。あ、あの蓮様も何か香水付けてますか?先程からとても良い匂いがします。」
「香水?何も付けてねえが。なんか香るのか?」
「グリーンコリアンダーとラベンダーが混じったスパイシーな匂いがします。」
「....コリアンダーってパクチーだよな?臭くね?」
「パクチーですけど、恐らく種の部分だと思うので葉っぱの青々しい匂いではなくて爽やかな匂いがします。」
「......へぇー....よく分かんねえな。何で香るんだ?俺はお前からオレンジの匂いが香るだけで、自分からはさっぱりしないだが?」
「理由はよく分かりません....私も蓮様と似たような状況です。」
「....そうか、不快ではないんだな?」
「は、はい。あ、あの私、お、お風呂入ってきますね。もしかしたらそのオレンジの匂いが取れるかもしれませんし!」
取れるわけがない。身体からのSOSだ。
では何故ロゼッタがそんな事を言ったのか?
それは彼女が蓮と喋ることに色々と限界を感じてしまい、洋室から抜け出す為の口実を作りたかったからだ。
ロゼッタは捲し立てるように蓮にそう言い放つと、食器類をテーブルに残したまま、ダッシュでリビングルームを後にし、洗面所へと駆け込んだのだった。