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無能淫魔とサディスト男
第1章 始まりは不法侵入
”何が原因だ...?
SM趣味は徹底的に隠していたから、束縛か?
飲み会行くなって言った事か?頻繁に連絡を取りすぎたか?それとも俺の短気な性格か?何が駄目だったんだよ。
不満があったらすぐ言えっていつも言ってんのに、アイツ最後まで何も言いやしない。
とっくの昔に愛想尽かしていたのかもしれねえが、付き合って7年だぞ?
結局、将来を見据えた交際だと思っていたのは俺だけか?クソが。“
蓮はビールジョッキをテーブルに叩きつけるように乱暴に置くと、頭を掻きむしって再び溜息を吐いた。
「......帰るか。」
苛立ちを抑え込む為に彼はビールジョッキを何杯も一気飲みしていたようだが、多少酔った程度であまり効果は無さそうだった。
ただでさえ威圧感のある三白眼に凄みが増す。その為か、愛想の良い居酒屋の若い店員も若干萎縮しながら会計を行っていた。
立てば少し足がフラついたが、帰宅に支障は無さそうだ。
込み上げてくる怒りを何とか抑えながら、クリスマスという特大イベントの為、終電でも満員となった電車に一人揺られながら帰路に就く。
「.........誰だ?」
帰宅後自宅の玄関錠を開錠し、キッチンと居室の間に設けられたドアを開いた瞬間、蓮は一気に酔いが覚める感覚に襲われた。
消した筈の電気が付いている。
そして無人のダブルベッドには、ある筈のない謎の大きな膨らみが出来ている。
蓮は何度か問い掛けを行ったが何の返答も無い。真実を知らない彼の視点からでは静まり返ったリビングルームは酷く不気味に映っただろう。
”部屋を荒らした形跡が一切無い事から、確実に空き巣犯では無い。返答が無いのは、何故だ?あえて息を殺して潜んでいる可能性は?
だったら身を隠す場所として真っ先に候補から外すベッドに隠れるのはおかしい。まさか、死体とか?
冗談じゃねえぞ“
いくつもの嫌な予感が頭を巡り始めた蓮だったが、正体を知らない事には何も解決はしない。念の為にキッチンへ向かい、包丁を片手に戻ってくると、警戒しながらも冬布団を思いっきり捲り上げた。