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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
時刻は9時半。
いつもよりも時間を掛けてベースメイク、アイメイク等の化粧を施したロゼッタの顔立ちは実に華やかなものになっていた。
マスカラで長く伸びた睫毛と二層のグランデーションを付けたアイシャドウは青みの強い綺麗なアースアイを強調し、
元々鼻筋の通った高い鼻はノーズシャドウでハリウッド女優級に高くなっている。
彼女の肉厚で形の良い唇はナチュラルな発色と艶を与えてくれる赤グロスで妖艶に。
そしてブロンドショートボブの髪に軽くアイロンをあてて整えれば見目麗しい娼婦の出来上がりである。
「ロゼッタ、いるか?」
洗面脱衣所の引き戸を軽くノックする音が聞こえてロゼッタは一瞬思考がフリーズした。
が、すぐに「はい、居ますよ。どうしましたか?」と返答する
”あ、そっか。
歯を磨きに来たんだ。
この格好....何か言われるかな?
ちょっと外出する服装にしては、少々派手だもんね。ちゃんと理由考えておかないと。“
「お前中々戻ってこねえから、そっちで具合悪くしたんじゃねえかと思ってよ。」
引き戸を開けて眠い目を擦りながら蓮が洗面脱衣所に入ってくる。
だがロゼッタの姿を視界に捉えた瞬間、驚いたように目を見開いたのだった。
「元気ですよ。あ、ごめんなさい、私邪魔ですよね。今退けます。おやすみなさい。」
コリアンダーとラベンダーのスパイシーな香りがロゼッタの鼻腔をくすぐった。
「おい、ちょっと待て。」
反対に洗面所から出て行こうとするロゼッタの腕を蓮は力強く掴んだ。
「あの....何でしょうか?」
「お前そんな格好で今からどこに行く気だ?」
「いえ........その一人で遊びに行こうかなって。」
「だから何処に?」
“理由は分からないけど、何となく「大久保公園に。」と答えるのはまずい気がする。それ以外にしないと。”
剣呑な眼差しと追い詰めるようなキツい言い方に、ロゼッタは内心胸がざわついたが、平静を装ったのだった。