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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
“そうだ、とりあえず今日の夜、どうしよう。蓮様を取り巻く不穏な空気も凄かったけど、やっぱりあのフェロモンが漂ってきてキツかった....。寝室は絶対に眠れない。
すり抜け魔法、発熱魔法、変身魔法、この3つを使えば、絶対にバレずに外出出来るけど、魔力が枯渇してる時にそんな事したら身体が....。やっぱりここで一夜を過ごすしかないのかな....。”
今度は洗面脱衣所を寝床にする案に落ち着いたらしい。
先程の「生きる為に売春すればいいか。」という貞操観念-120%の提案よりは遥かに良いが、頑として蓮に相談する気は無いようだ。
“蓮様の言う通り、化粧を落としてパジャマに着替えなきゃ。
でも...何だろう自分の事となると途端に面倒くさくなる。“
ロゼッタは床に座り込むと、呑気にスマホを操作し始めた。
もし彼女が彼の【性格】や【彼から自分への評価や印象】をきちんと理解していれば、このような【愚行】は取らないだろう。
だが誠に残念ながら、彼女は【全く理解していない】のである。
荒々しく扉が開かれる音に聞き慣れない大きな足音が響く。
慌ててスマホの操作を中断するも、今度は無遠慮にガラガラっと引き戸が開け放たれたのだった。
「ったく、いつまでも何やってんだ?!」
蓮様だった。だが酷く人相が悪い上に、声色も恐ろしい。
地を這うような声だった。
それは驚愕したロゼッタの心臓にも大きく負担をかけたようで、彼女は声すら発せず固まってしまった。
「あれから30分以上も経ってんのに、化粧落としも着替えも何一つ出来てねえじゃねえか!お前、俺の話聞いていたか?それとも俺に黙って外に出たかったか?え?」
蓮は恐怖で固まってしまったロゼッタに構わず続けて詰問する。犯人を尋問する警察官よりも恐ろしい。まるでヤクザだ。当然彼女の忙しない思考も緊急停止状態である。
「.....チッ、イライラする。」
蓮の軽い舌打ちと苛立ちが混じった台詞にロゼッタは肩を震わせた。そして彼女は洗面脱衣所から一目散に逃げようとしたが、蓮にアッサリとその左肩を掴まえられてしまう。