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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
「ベッドに行くか?」
吐息混じりの蓮の問いかけにロゼッタはコクンと頷いた。軽々と横抱きにされてダブルベッドの上へと静かに落とされる。
荒々しい言動が目立つ蓮にしては、丁重すぎると思いはするものの、
それが嵐の前の静けさであるとは、とても予想出来ないだろう。
「両手、頭の上に。」
仰向けに寝かされたロゼッタは、何の疑問も持たずに蓮に言われるがままに両手を頭上へ移動させた。
蓮はポケットから今日着用していた黒のネクタイを取り出すと、彼女の両手首をキツく結んで拘束したのだった。
「ああ、少し痛かったか?悪いな。でも解いてやれねえんだよ。今からお前に仕置きをしなきゃならねえからな。」
「仕置き...?」
そこでロゼッタは異変に気づいたらしい。危機感の無い彼女は首を傾げた。
「本当にお前、俺とセックスがしたかったのか?」
耳を疑うような蓮の台詞にロゼッタは目を見張った。同時に嫌な予感も感じたのだった。
「ど、どうして...?」
「どうしてだと?じゃあ聞くが、何故お前は[外]に出かける必要性があったんだ?お前の話が本当ならセックスしたい相手は[家]に居たんだろう?」
軽薄そうな笑みを浮かべたまま、蓮は猫撫で声を出す。無論その瞳の奥は全く笑っていないのだ。
”どうしよう、また彼を怒らせた。“
瞬く間に悪寒がロゼッタの背中を走り、2つの恐怖が彼女を襲った。
1つは言わずもがな、刺し貫くほど睨めつけてくる蓮の存在だ。そしてもう一つは彼の激怒の理由が分からない、愚鈍な自分の思考回路である。
蓮は表情を引き攣らせたロゼッタを視認すると、何かを確信したように彼女に語り始めたのだった。