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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
“....私、絶対クビだ。
こんなに蓮様を怒らせてしまったんだから。
次は....誰に拾ってもらえるんだろう。
いや、そもそも拾ってもらえるだろうか?
蓮様のような特殊な目をお持ちの方がこの日本にどれ程いるか、私は把握出来ていない。
また巡り合ったとして、雇い主は蓮様のように私を人間扱いしてくれるだろうか?
................私ったら、変ね。どうして拾ってもらえる事を前提に考えているのかしら?
個人売春っていう、元のお仕事に戻ればいいだけの話なのに。本来、真っ先に出てくる筈なのに。
蓮様とずっと一緒にいたから?彼が違法行為だと言ったから?私は随分彼からの評価を気にするようになってしまったのね。
本当馬鹿だし、無駄な事だわ。どうせクビになるんだから。そんな考え、捨てないと。”
いつもの事ながら、超絶マイナス思考に陥った彼女は、またしても謎の発想に至り、激しい思い込みが現実となると信じて疑わないようである。
“....今のうちに荷物、まとめておこうかな。あ、でも蓮様に一歩も動くなって言われたんだった...ちゃんと言う事聞かないと。
でも何でベランダに?寒いしリビングで吸えばいいのに。
あ、私が居て邪魔だったのかな?
それならベランダに出ていけと一言命令して下されば、出て行ったのに……。
蓮様、怒ってても変な所で遠慮するんだなぁ...。“
それは遠慮ではなく、煮えたぎった頭を冷やす目的でベランダという場所を彼は選択しただけである。
つまり彼は冷静になりたかったのだ。
そんな当たり前の行動理由すら予測が出来ず、斜め上の発想に至ったロゼッタだったが、特に理由を聞く事はしないみたいだ。
人間で言うところの第六感みたいなものが働いた...わけではなく、疑問を口にする事は雇い主である蓮に対して失礼だと思っているからである。