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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
「あ、蓮様。おかえりなさい。」
ロゼッタが声を掛けると、一服してきた蓮が再びリビングへと戻ってきたのだった。
「お前...ずっと正座して待ってたのか?」
「は、はい。言いつけ通り、一歩もベッドから動きませんでした。」
「別に正座じゃなくたって良かったんだぞ?足痺れただろう?」
「い、いえ、大丈夫ですから。」
“蓮様、表情も声もさっきと比べると大分落ち着いてる。煙草って凄いんだな。
私も今度吸ってみようかな?“
「ロゼッタ。」
「!ハ、ハイ。」
急に名前を呼ばれてロゼッタは、背筋を伸ばした。
ついに蓮から解雇を言い渡されると思い込んだのだ。
「俺がいつも肌身離さず持ち歩いとけって言ってたお前のスマホ、ここに持ってきてくれないか?」
「ハ、ハイ。」
“.......スマホの回収かな?
契約解除だから確かに私が持っていても仕方ないもんね。”
既に大きな勘違いが始まっている事に気付かぬまま、ロゼッタは洗面脱衣所へと向かうと、リュックを背負ってリビングルームへと戻ってくる。
「....わざわざリュックごと持ってきたのか?」
「は、はい....す、すいません、遅くて。
今取り出しますね。」
「?嫌がらずにお前のスマホを俺に渡してくれるなら、別にゆっくりでも構わないが。」
“.......?私の行動が遅い事を指摘したんじゃないの?
じゃあ一体....ま、まあ、いいや。早く渡さないと。
蓮様を待たせてしまうし。”
[スマホだけ持ってくればいいのに何故リュックまで持って来たんだ?]
蓮の言葉をより分かりやすく言い換えるならば、その一文となるのだろう。だが彼女はすっかり自分は解雇されるものと思っており、荷物も手元に置いておいた方がいいと判断した為、持ってきたのだ。
その為会話は噛み合っているようで、全く噛み合っていないのである。