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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事


「ロゼッタ。」


「!、アッ」


打開策が思いつかず、無言で立ち竦んでいたロゼッタの腕を蓮は強引に掴むと、自分の元へ引き寄せる。
ロゼッタの身長は170cm。日本ではモデル並の高身長の部類に入ると思われるが、蓮の身長は更に20cm高く190cmだ。頭1つ分ある身長差では、抱き寄せられてしまったロゼッタの視線は自然と上目遣いになってしまった。



“.....あ、ぶない!”


蓮と視線が合いそうになって、慌ててロゼッタは視線を逸らした。香り立ちの変化がある香水のように、蓮のフェロモンも変化した為、ロゼッタはつい、そのフェロモンの匂いに気を取られそうになったのである。


“は、早く離れないといけないのに、蓮様にがっちりホールドされて身動きが取れない。”


蓮とロゼッタは、身長差だけではなく体格差もある。
胸板が厚く、筋骨隆々な体つきをした蓮の腕の中に閉じ込められてしまったら最後、抜け出す事は容易では無いのだろう。


密着度が高まった事で、刺激的な香りが再びロゼッタの鼻腔をくすぐった。


青々としたハーブ系の香りであるアロマティックノートに、誘惑的な媚薬のようなオレンジフラワーの香りとリラックス効果に優れたネロリの香りが溶け込んでいる。情熱と落ち着きを合わせもった、男らしい香りだ。

ハァっという短く、色っぽい溜息がロゼッタの口から漏れ出るが、ハッと我に変えると慌てて唇を噛み締める。


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