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無能淫魔とサディスト男
第5章 淫らなおねだりと物騒な約束事
俯いていたロゼッタは、その際、蓮がどのような表情を浮かべているのか確認出来なかったのである。
「あの、すみません。話、結構長くなってしまうんです。ベッドに座りませんか?」
「ああ、分かった。いいよ。」
紳士的かつ世の女性が皆ときめいてしまうような甘い声で返答すると、蓮は抱擁を解いた。
つい先程まで激昂していた人物とは思えない。もはや別人である。
恐らく「嫌いじゃないの!」と必死な様子で蓮の意見を否定していたロゼッタの姿がとても印象的で、愛らしかったのだろう。
常人には少し理解し難い感性を、蓮はお持ちのようである。
“なんか蓮様、凄く上機嫌に見える。
蓮様は相談されるのが好きな方なのかな?分からない。不快にさせてしまったらどうしよう。でももう決断しちゃったし、とりあえず最後まで喋るしかない。“
そして今回もロゼッタの予想は掠りもせず大きく外れており、極めて無駄な心配を抱えながら、蓮が腰掛けた後に同じくベッドに腰を掛ける。
ご機嫌な蓮は、隣に座ったロゼッタへ距離を詰めると腰に腕を回そうとした。だが、蓮のフェロモンによって理性も思考も働かなくなってしまう為、少し距離を空けてほしい旨をロゼッタは告げると、やや不服そうな顔をしながらも拳2個分の距離を取って蓮が座り直した。
”私の手を煩わせるな。この能無しが。“
だが、いざ口を開こうとした瞬間、ロゼッタの脳裏には以前仕えていた無慈悲なご主人様の姿が過った。
”大丈夫。蓮様はあの、ご主人様じゃない。
大丈夫。は、早く言わなくては。
蓮様を待たせてしまっている。“
ハァーと深く息を吸い込み、息をゆっくりと吐き出した。深呼吸して気持ちを整えたロゼッタは、努めて冷静に語り始めた。