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人質交換を託された女
第12章 籠城戦の行方
その後、『支店長室』に辿り着くと、残りの3人の姿が確認できた。室内のガラステーブルの上にお尻を乗せ、他の6人同様、背中を合わせるように、体を繋ぎ合わされ、脚も縛られ、動けないようにされていた。

男は支店長室の扉を閉めた。その瞬間、佐伯さんが言葉を発した。
「みんな無事なんですね…?何もされていないんですね…?」
と男を問い正した。私たちを除いて、人質9人の無事は確認できた。彼女の何もされていない…という言葉に胸が苦しくなる。

男は「そうだ…」と佐伯さんをしっかりと見て、答えた。そして、「こっちだ…」と私たちに指示を出し、先を急いでいた。

ライトが照らす、窓のない廊下を進んでいた。目の前は行き止まりだった。

佐々木さんが「更衣室…」と独り言のように呟いた。私は彼女に顔を向け、頷いて、目を合わせた。銀行の平面レイアウトが頭に浮かんだ。

男が止まり、壁の左側にある扉を開けようとする。『女子更衣室』と表記されていた。
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