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人質交換を託された女
第12章 籠城戦の行方
乱れた髪を整え、皺のないシャツにベスト、スカートとストッキングを穿き、首にはスカーフを巻いていた。銀行員としての彼女に戻っていた。
彼女は男がまだ縄を持っていることを確かめる。その時に瞬きが短い間隔で繰り返された。
ゆっくりとこちらに近付いてくる。男の横を過ぎ、その先は向かい合うロッカーしかなかった。そして彼女はそこで止まった。彼女は更衣室の出入口と、お手洗いに通じる扉に背を向けた。目の前に出口はなかった。
佐伯さんはクルッとこちらを向いた。
「婦警さんの拘束を解いてあげてください…」と男に告げた。
だが男は「ダメだ…」と首を横に振る。
佐伯さんは男が縄を持って近付いてくるのを見つめ、「分かりました…」と言い、再び男に背を向けた。
彼女は男がまだ縄を持っていることを確かめる。その時に瞬きが短い間隔で繰り返された。
ゆっくりとこちらに近付いてくる。男の横を過ぎ、その先は向かい合うロッカーしかなかった。そして彼女はそこで止まった。彼女は更衣室の出入口と、お手洗いに通じる扉に背を向けた。目の前に出口はなかった。
佐伯さんはクルッとこちらを向いた。
「婦警さんの拘束を解いてあげてください…」と男に告げた。
だが男は「ダメだ…」と首を横に振る。
佐伯さんは男が縄を持って近付いてくるのを見つめ、「分かりました…」と言い、再び男に背を向けた。