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人質交換を託された女
第12章 籠城戦の行方
手が体の前に伸び、ボタンを外している気がした。彼女のベストが両腕から滑り落ち、そのまま両腕を後ろに回した。男が近付いても、その姿勢は変わらなかった。

すぐに男に両腕を掴まれ、「ァ…」という彼女の声が聞こえた。男により体の向きを私の方に変えさせられた。両腕を抑えされ、胸を張らされた彼女は、頬の緊張が解けていた。男に後ろから抱擁された時と同じ表情だった。

「婦警さん…私はいいから逃げてください…私がさっき使った扉を出て…右に行けば…行員通用口があります…」

私は胸を張らされた彼女を見て、目を細めていた。胸の膨らみの頂に、小さな突起を見つけてしまった。それは白いシャツの上からでも、はっきりと女の分かる蕾(つぼみ)だった。

彼女は「早く…」と言っていたが、後ろの男の方がその言葉に反応し、彼女の腕を後ろに縛り始めた。
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