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人質交換を託された女
第3章 人質+1
必死に首を振って抵抗する。意思に応えて自由に動いてくれるのは首だけだった。それがいかに無意味なことか。椅子に括り付けられた体には、成す術がなかった。
背後からテープが視界に入り、口に迫ってくる。その反対方向に顔を背けて、最後の力を振り絞って、声を張り上げる。
「お願い、人質を解放してあげて!」
冷たい銃口を首元に感じた。全身の血の気が引いていく。
銃を持つ男の声だった。
「解放される前に一人いなくなるかもな…」
その言葉を聞いて、心が折れるように力が抜けてしまう。
すぐに粘着テープは容赦なく口に当たられた。真っ黒のテープが肌にねっとりと貼りつき、唇をしっかりと塞いでいた。テープを巻きやすいよう、首を反らされた。粘着テープは何度も何度も、口に戻ってくる。全く逆らえず、与えられた役目を全く果たせない、なされるがままの絶望感で、頭がクラクラする。四重にも五重にも重ねられたテープが、鼻下から顎までの肌を黒く染めた。口から息すらも漏れなかった。胸が激しく上下し、動揺を隠せなかった。鼻から漏れる息の音だけが虚しく自分の耳にも聞こえてくる。
背後からテープが視界に入り、口に迫ってくる。その反対方向に顔を背けて、最後の力を振り絞って、声を張り上げる。
「お願い、人質を解放してあげて!」
冷たい銃口を首元に感じた。全身の血の気が引いていく。
銃を持つ男の声だった。
「解放される前に一人いなくなるかもな…」
その言葉を聞いて、心が折れるように力が抜けてしまう。
すぐに粘着テープは容赦なく口に当たられた。真っ黒のテープが肌にねっとりと貼りつき、唇をしっかりと塞いでいた。テープを巻きやすいよう、首を反らされた。粘着テープは何度も何度も、口に戻ってくる。全く逆らえず、与えられた役目を全く果たせない、なされるがままの絶望感で、頭がクラクラする。四重にも五重にも重ねられたテープが、鼻下から顎までの肌を黒く染めた。口から息すらも漏れなかった。胸が激しく上下し、動揺を隠せなかった。鼻から漏れる息の音だけが虚しく自分の耳にも聞こえてくる。