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人質交換を託された女
第3章 人質+1
手首を動かし、胴体を揺すり、脚を擦り、首を左右に振り、口からは声も出せず、自由は何もかも奪われてしまった。全く隙のない、手がかりも足がかりも見つけられない、完璧な拘束を体に感じ、天井のライトを見つめてしまう。封印された口の中には敗北の苦い味がし、それを飲み込むくらいしかできなかった。

「それは無理なお願いだな…」
とリーダーの男が発する。

男は銃口を私の太ももに這わせ、お腹を過ぎ、大きく上下に動く胸に触れ、顎を上げさせ、私に絶望感を与えてくる。

「あなたには選択肢を与えたはずだ…自分自身でこうなることを選んだ…あなたの勇敢な行動は警察官の鑑(かがみ)だ…けして無駄ではない…有意義な話し合いをしようじゃないか…皆が満足できるような交渉を…預かった大切な身柄だ…特別な人質として…格別なもてなしをさせてもらうよ…もちろん…私の支配下に置かれるという事だ…」

男の目線が奥を指し示し、銃口は私の体を離れていく。
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