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人質交換を託された女
第17章 セカンドカウンセリング
彼はソファの下に手を伸ばし、棒状に束ねられた赤い縄束を1つ、私の目の前に置いた。

銀行で人質になっていた時は、捜査本部の何も決められない、煮え切らない対応に絶望する中、成す術もなく、力ずくで縛られてしまった。だが今は彼との繋がりを強く意識し、互いの肉体を重ね合う熱気から逃れるように、ゆっくりと両手をソファクッションに預けていた。

「戸北…根があるから…花が咲くんだ…」

彼の言う『根』とは、もちろん彼の肉根だと思った。彼にお尻を少し持ち上げられ、女の湧水を得た肉根が、さらに奥深く根を張り、太く感じられ、『花』という言葉に女を強く意識し、沸騰しそうな体熱を感じ、声を押し殺して、腕を前に伸ばしていく。

縄束から解かれた赤い縄が、彼の言葉のおかげで植物のツルに見えていた。彼の想いが奥深く沁(し)みこむ幸福感に身を震わせる。赤の縄を見て熱さ、強さ、情熱、興奮、血液、脈というイメージが頭に膨らんでいく。
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