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人質交換を託された女
第3章 人質+1
私は縛りつけられ、彼らの思惑どおり無力化された。全く脅威にならない、女の形をした人形同然だった。犯人たちの管理下に置かれた人質となった。その輸送道具となった椅子は、簡単に移動を開始する。ブレーキを掛けたくても、地に脚が付かない状態では全く止めることができない。5個のキャスターが床を転がるスムーズな音が心に突き刺さる。

椅子は大きな扉の金庫に向かっているようだった。まるで債権を回収する銀行業務のように、借金の形に警察から派遣された身柄が、人質としての受付を済まされ、拘束というがんじがらめ負の担保が課され、犯人グループの要求が不履行になった際の保険として、金庫に輸送され、監禁される。警察が人質の価値に見合うだけの対価を支払わなければ、私はここから出られない。その悲壮感に胸が締め付けられる。

隙間なく口を覆うテープは、私の唇を自由に動かすことも許さなかった。閉じたまま全く動かなくなっていた。

金庫の重厚な扉は開かれていた。その不気味な扉を抜け、中に人の気配を感じた。何か音が聞こえた。さらに近づけば、それは女性の声だった。
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