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人質交換を託された女
第5章 積み上げれた賭け金
そこに非情のロープが腕に掛けられ、腕を包み、力強くギュッと締ってくる。体をよじって耐えようとする。キュッと結び目が締められる音が聞こえ、ロープによる拘束のリングを腕に感じ、もうダメだ…と悟った。彼らの操り人形になることを受け入れ、私は力が抜けていく。
捜査本部の本部長が「現在、関係各局に至急案件として依頼をしている…それまで待ってくれ…」と話していた。
そんな優柔不断な策が通じる相手ではなかった。私は身をもって、それを痛感した。これ以上待てる状況になかった。『頼みの綱』としていた捜査本部に、見捨てられた気がした。それに気付き、目の前が涙で曇った。見えてくるもののピントが全てぼやけていた。
ぼんやりとした意識の中で、ロープが後ろに引かれ、後ろから抱きしめられ、何もできない絶望感でいっぱいになった。胴体が少し机から浮くのを見ているだけだった。心が締め付けられる想いを覆い隠すように、ロープが胸元を横断した。男の手が離れ、胸が自然と机に戻ろうとする。ロープが引かれ、体とロープの密着度が増し、ギュッとロープの締りを感じ、しっかりと的確に私の体を支配すべく、手綱を締めてくる。選択肢など残されていない。脱出することを諦めなくてはならない。屈強な綱に挟まれ、窮地に追い込まれたと悟るには、十分な搾(しぼ)り上げだった。
捜査本部の本部長が「現在、関係各局に至急案件として依頼をしている…それまで待ってくれ…」と話していた。
そんな優柔不断な策が通じる相手ではなかった。私は身をもって、それを痛感した。これ以上待てる状況になかった。『頼みの綱』としていた捜査本部に、見捨てられた気がした。それに気付き、目の前が涙で曇った。見えてくるもののピントが全てぼやけていた。
ぼんやりとした意識の中で、ロープが後ろに引かれ、後ろから抱きしめられ、何もできない絶望感でいっぱいになった。胴体が少し机から浮くのを見ているだけだった。心が締め付けられる想いを覆い隠すように、ロープが胸元を横断した。男の手が離れ、胸が自然と机に戻ろうとする。ロープが引かれ、体とロープの密着度が増し、ギュッとロープの締りを感じ、しっかりと的確に私の体を支配すべく、手綱を締めてくる。選択肢など残されていない。脱出することを諦めなくてはならない。屈強な綱に挟まれ、窮地に追い込まれたと悟るには、十分な搾(しぼ)り上げだった。