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「本日も撮影日和」 微熟妻・美咲
第4章 美咲の告白「4月下旬・Portrait」
用意ができて、裏の公園に向かいました。

「今日のイメージは夏だから、桜の木は要らないわね」

と、言いながら、昨日とは別の滑り台。鉄製の1人ずつ階段を昇って滑るタイプの滑り台。

「滑り台の上に立ってみて」

と、言われ、階段を昇って立つと、

「そう、じゃあ、こっち見て。この辺りを」

と、言って手をグーからパーに広げる雫石忍さん。手のひらを見ていると、昨日とは違って、スマートフォンではなく、小型のカメラ。雫石忍さんの言い方では、「コンデジ」。コンパクトデジタル一眼レフで、パシャッと一枚。

「滑ると危ないから、そのまま、階段から降りて」

と、言われ、後ろ向きに降りました。

「で、そこで振り返って」

と、言われ、振り返ると、パッシャと、また、一枚。

「美咲ちゃん。いい感じ。自然と笑顔になるから、チャーミングよ」

と、褒める雫石忍さん。

「つぎは、この石のオブジェのうえで、寝そべってみて」

と、言われるままに寝そべり、カメラのレンズを見ると、

「いい感じよ。そう、キュートよ」

と、言いながら、ピー、カシャとシャッター音が。

「じゃあ、次は、ベンチに座って、そう、その感じ。お上品よ」

と、言いながら、ピーピピピピー、カシャとシャッター音が。

「じゃあ、同じ感じで、ちょっとこっちを向いて、そ、その感じ」

と、パッシャとシャッター音がして、また一枚。

「その階段の手すりを持って、視線はこっち」

「階段をのぼりながら、振り返って、そ、その感じ」

「次は、階段を下りながら、見上げて、そ、そう!」

「階段に座って、そ、そして、視線はここよ!」

「牡丹の花の横で、屈んで、視線は、こっちよ」

「今度はカキツバタの横で、そう、屈んで、こっちを見て」

「さらに、今度はこっちを見て」

と、どんどん撮影する雫石忍さん。

「いいわね。美咲ちゃんは、撮られ上手ね」

と、微笑む雫石忍さん。

「そろそろ、一度、私の部屋に帰って、確認しましょう」

と、話す雫石忍さん。日差しも強くなってきていました。

「そうですね」

と、私が返事をすると、

「行きましょう」

と、歩き始める雫石忍さん。私は追いついて、

「どうですか?」

と、訊くと、

「いいと思うわ。笑顔もいいし、確認して、旦那さんに送りましょう」

と、微笑む雫石忍さん。
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