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「本日も撮影日和」 微熟妻・美咲
第4章 美咲の告白「4月下旬・Portrait」
あと、肩には、丸い黒い袋。

「それは?」

と、訊くと、

「これはね・・・。レフ版っていうの。撮影のときに光を反射させて、顔の表情をわかりやすくしたり、いろいろ使うんだけど、これは、折り畳み式だから、畳んであるけど、使うときは広げるわ。今日は使わないかもしれないけど」

と、話す雫石忍さん。結構、本格的な感じ。

「じゃあ、どこで撮ろうかしら。っていうか、コロナが怖いから、公園に誰もいないね。ウイルス感染なら、大空の下が安全なはずなんだけど」

と、笑う雫石忍さん。確かに・・・。常時換気というか、空気の籠りようがないのに所であることは間違いない感じ。

「では、ここで、こういう感じで、ここに手を置いて、こう振り返る感じで」

と、自分がまず、そのポーズを示して、私に伝える雫石忍さん。これだと、よくわかります。同じようにポーズすればいいのですから。

私がポーズを決めると、

「そう、視線をこっちに流して」

と、言いながら、ピピピー、カシャッというシャッター音して撮影。

「次は、そこの階段の踊り場で、手すりを持って振り返って、レンズを見つめて」

と、言われ、そうすると、ピピピ―、カシャッというシャッター音。

「そこで屈んで、見上げて、視線は、レンズに」

と、言われ、言われたようにすると、ピピピー、カシャッというシャッター音。

「そこで立っていて、少し待ってね」

と、言いながら、階段を昇り、上から、

「はい、こっちを見上げて、レンズを見て、ピピピー、パシャッと、今度は、ストロボも同調してシャッター音も。

「ここからは、公園を出て、歩道を歩く雰囲気で撮るわよ」

と、公園の横の歩道を歩き、先に小走りで行って、振り返り、

「ゆっくり歩いてきて」

と、言われ、歩いていくと、ピピピー、パシャッという音。

「さらに、木陰を歩く人妻が俯き加減で、物思いにふける感じで」

と、情景をイメージさせる言葉をかけながら、ピピピー、パシャッ。

「そう、そこから眉を顰めて、気鬱な感じで、寂しさを醸し出して」

と、そこまでくると、なかなか、難しい感じ。そう、演じているというところまでは、と思っていると、

「いい感じよ。そう、儚げな感じがいいわよ」

と、声をかけてくれる雫石忍さん。
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