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霧中の夢
第1章 霧中の夢

僕はその事実を知った時、実にやりきれない思いでいっぱいになった。
由美はパンをかじり、珈琲を飲みながら2年前の事を思い出していたのだ。

そんな事を思い出していた時も2匹の猫は由美の足元に来ては身体を足に擦り付けてスリスリしてくるのだった。

唯一の癒しは、この猫たちだと由美は思っていた。
そんな事を思いながら土曜の朝は過ぎて、ぼんやりと昼を過ぎやがてまた夜がやってきた。

由美は夜になるとバスタブに湯を溜めていた。
その湯に浸かりながら僕の事を考えているのが分かった。

お風呂から上がると僕とお揃いで買ったパジャマを着てドレッザーの前で髪を乾かし始める。

由美の髪は肩まである栗毛色のボブだった。
その髪型は僕と初めて会ったその時と変わらなかった。

僕は髪を乾かす由美をその横で眺めていた。
髪を乾かし終わると、僕の居ないセミダブルのベッドへと入り深い眠りへと落ちて行った。

僕も由美の隣のベッドへと入り一緒に眠りについた。
こうして僕はいつも由美の傍にいる。



僕は、誰かの視線で目が覚めた。
その視線の先には由美が僕を見つめている姿があった。

僕と由美の目が合った。

「優一さん…」
「由美…」

由美は黙ったまま僕の瞳を見つめている。

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