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霧中の夢
第1章 霧中の夢
僕は手を伸ばし、由美の身体を抱きしめていた。
寝室には何故か分からないが霧の様な靄が充満していた。
由美は僕の腕の中で囁いた。
「優一さん、何故ここにいるの?」
「僕にも分からない…」
そう僕が言うと由美は僕の腕を解き瞳を見つめてまた話し出す。
「優一さん、とても会いたかったわ…」
「僕はいつも由美の傍にいたんだ…」
「気が付かなかったわ。ごめんね…」
「いいんだ。僕は大丈夫だから…」
僕は自分が由美とお揃いのパジャマを着ている事に気づいた。
そのパジャマに触れながら尚も話しかけてくる。
「ずっとひとりで眠るのが淋しくて辛かったわ…」
「ごめん。いきなりひとりにして。済まなかった…」
「いいのよ。こうして会いに来てくれたから…」
「由美の事は忘れたことはなかった…」
僕らは引き寄せ合うように深いキスをした。
由美の唇がこんなにも柔らかく優しく感じたことはなかった。
僕は今までの想いをぶつける様に由美の身体を抱きしめていた。
優しく髪に触れその感覚を確かめていた。
「由美はこの2年間、誰とも付き合っていなかったんだね?」
「ええ、優一さんの事が忘れられなかったの…」
僕はその言葉を聞くと愛おしさで心がいっぱいになった。