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ホワイトアダージョ 人妻が雪に閉ざされた山荘でセックス奴隷に
第1章 第一楽章 アンダンテ


三連休の最後の日曜日の夕方、BMWに乗って現れた彼女は、いつもよりもまして素敵だった。
やわらかそうな素材の白いハイネックのセーター、レザーのハーフミニの黒いタイトスカート、レザーのロングブーツという格好だった。知らない人が見れば、とてもスキーに行くようには思えないだろう。

「ごめん、待った?」

彼女の笑顔はサングラス越しでも強烈なくらい輝いていた。
後部シートに荷物を積んで、ぼくは助手席に乗り込み、また彼女の姿をじっくり見た。いつもより濃いめのメイクがセクシーな雰囲気を漂わせている。しかしそれは決して下品なものではなかった。車内には彼女の香水の匂いがほのかにしている。花の香りのようだがどういう花とも言い切れない静かな香りだった。
彼女は憧れの人妻、あやさん。
今日のあやさんの服装はセクシーでありながらも、上品で清楚な若妻をイメージさせるようなものだった。しかしそれとはうらはらに、隠しきれない成熟しきった女体のラインが悩ましくうかんでいる。胸のふくらみ、ウエストのくびれ、ストッキングに包まれたふともも。どこもかしこも、溜息がでるほど悩ましい。

「淫乱のように扱ってほしい・・・」

三日前、青山通りに面したカフェで紅茶を飲みながら彼女はそう言った。
冬の頼りない午後の日差しが、葉っぱをすべて落とし現代アートのオブジェのようになった銀杏並木を照らしている。店内は空いていて、グレン・グールドのバッハが流れていた。このところ、お互いにいろいろと忙しく、会うのも久しぶりだった。

「え?」

聞き違いかと思った。

「あたし、ときどき・・・セックスの奴隷になってしまいたいことがあるの」

彼女は頬をわずかに染めて、小さな溜息まじりにそうつぶやいた。意外な言葉だった。清楚で知的なあやさんからこんな言葉を聞かされるなんて。
「ご主人はそういうふうに扱ってくれないの?」
こくりと彼女はうなずいた。
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