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私立桐邦音楽大学附属中学校
第28章 角山奏音の下着選び
(ふう……疲れた。)

売り場の片隅にある椅子に腰をかける弘斗。改めて女性の下着に囲まれているのを実感し居心地が悪い。

「お連れさま。」

「……」

「お連れさま?」

「は、はい!」

自分が呼ばれているとは思わなかった弘斗。彼を呼んでいたのは篠田店員だった。

「角山さまがお呼びです。」

「へ?」

「試着を見て欲しいと……」

「は?いや……」

「どうぞこちらへ。」

「ちょ……えっ?えっ?」

コンコンコン

「失礼します。お連れさまをご案内しました。」

『どうぞ。』

試着室の中から小山田の声が聞こえた。

「ではごゆっくりお選びください。」

「は、はあ……」

篠田店員は売り場に戻って行った。

「……」

恐る恐るドアを開ける弘斗。相変わらず応接室のような試着室、高遠と小山田はソファーに座って悠長にウォーターサーバーの水を飲んでいた。

「角山は?」

「ドア閉めて。」

「あ、ゴメン……」

「奏音ー、室賀くん来たよ。」

パーテーションの向こうに声をかける小山田。

「う、うん……じゃいくよ室賀……」

「え?」

パーテーション越しの会話。

「い、言っとくけど絶対エロい目で見ないでよね!」

「はぁ?!」

「わかった?!」

「無茶言うなよ!」

「……てか早くして。」

高遠が呟いた。

「じ、じゃあ行くよ。」

「お、おう……」

パーテーションから姿を現す角山奏音。
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