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私立桐邦音楽大学附属中学校
第29章 ヌードモデルの真実
「きっかけは去年8月に父主宰の絵画教室の専属モデルが急病になってその代替を勤めたの。それが運命の始まり。」

「……」

小山田はその日の状況を事細かく話した。

※詳細は本編もしくは梨果SS第一話参照

「それが8月の裸婦クロッキー会での出来事……」

「う……うう……」

大きく心をえぐられた弘斗。目の前にいるこんな美しく可愛いクラスメイトが30人もの人前で全裸に剥かれたのだ。

「室賀くんどうしたの?私の話、オカズになりそう?」

とてもそんな気分にはならなかった。何しろ恋する女の子のそんな出来事はショック以外の何物でもない。

(しかしここは肯定しないと……)

「す、凄いね……」

そう、肯定しないと小山田は口を詰むんでしまう。あくまで己によって異性を欲情させるのが彼女の趣味だからだ。

「そ、そか……」

顔を赤らめる小山田梨果。

「……」

「もっとヒドい話があるの。聞く?」

「えっ?!ど、どんな話?」

「特別クロッキー会。」

「それって過激……?」

「うん、正直地獄だったよ……でも男の人は喜ぶのかも。」

「じ、地獄……」

「ほーい!お茶持ってきたぞー」

真田が奥からお茶を持って戻ってきた。

「ありがとー真田さん。」

テーブルに湯気の出る湯呑みを2つ置く真田。

「ど、どうも……」

(ところでとうして小山田はこの場所を選んだのだろう)

「どうした?少年。顔色悪いぞ?」

「もしかして気分悪かった?」

真田と小山田が弘斗の顔を覗き込む。

「えっ?!そ、そんなことは……」

(マズいバレる?!)

「何の話をしてたんだい?」

真田が小山田に訊ねた。

「8月の裸婦クロッキー会の話。」

「ええっ!彼にその話したのか!」

「……」

「自転車屋さんが彼に話しちゃったらしいの。」

「またあの人余計な事を。少年、何を聞いた……?」
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