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私立桐邦音楽大学附属中学校
第29章 ヌードモデルの真実
弘斗としては下手な絵とはいえ真田に小山田のヌードが見られていることに不快感を抱く。
しかし小山田梨果は構わず先のページを捲る。

「お、小山田……ちょっとその先は……」

その先は更に他の男の目に触れさせたくない場面が続くのだ。

「特別クロッキー会の時の私ね……」

「ああ……さっき話の途中だった……」

地獄だったと本人が言っていた話だ。

「そ。父が主催で懇意の生徒5人が参加したの。」

※本編『特別クロッキー会』参照

「こんなポーズ……芸術なんかじゃないよ……」

「……室賀くんには刺激が強すぎる?」

「や、そうじゃなくって……」

その先の過激なポーズのヌード画、下手な絵なので刺激は受けないが、それが行われた状況を想像する弘斗のショックは計り知れない。

「わわっ……ヤッパリ少しトラウマだなぁ。」

ページを捲るにつれ過激なポーズになってゆく。さすがの小山田本人も眉をひそめた。

毎日見ている中学の制服を半裸に剥ぎ取られた姿や、明らかに恥部の露出にスポットを当てられた恋する少女のポーズに弘斗も心がポッキリと折れてしまった。

「お、この四つん這いポーズは俺が指示したやつだな。」

「えっ?!」

「あー……言ってなかったね。真田さんも両方のクロッキー会に参加してたんだよ。」

全裸で四つん這いになっている絵の中の小山田梨果。そのポーズを指示したのが今目の前にいる真田とのことだ。

「俺を含めた参加者が順番に梨果ちゃんにポーズを指示していったんだよ。」

「……なんでそんな。」

「ごめんなさい、私あの日の特別クロッキー会のことトラウマでよく覚えてないの。真田さんお願い。室賀くんに話してあげて。」

「いいのかい?」

「室賀くんはその話を聞きたいみたいなの。」

「心配なのは梨果ちゃんだよ。あの日の話し聞いて大丈夫かい?」

「うん……多分。もうすぐ半年経つし。」

「わかった。川瀬さんの絵じゃイメージわかないから俺のスケッチブックを持ってくるよ。」
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